東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻
都市水システム研究室
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'08年度卒論題目
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都市水システム研究室 2008年度卒業論文題目案
*** 4月18日(金)12:30より演習室にて説明会を行います ***
【指導教員】
滝沢 智 教授 (811号室 takizawa'at'env.t.u -tokyo.ac.jp)
小熊久美子 助教 (410号室 oguma'at'env.t.u-tokyo.ac.jp)
村上道夫 特任助教 (410号室 michio'at'env.t.u-tokyo.ac.jp)
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メールを送る際には,'at'を半角文字の@にしてから送信して下さい。
【はじめに】
都市の発展は、水需要の「量の増加」と「質の多様化」を生む。先進諸国において人口減少が現実となりつつある現在でも、世界的に見て都市人口は増加の傾向にあり、特に急速な経済発展の渦中にある発展途上国においてその傾向は顕著である。一方で、将来の気候変動に伴い、降雨の時間的偏り(豪雨と渇水)や空間的偏り(洪水域と乾燥域)が顕在化し、利用可能な水資源量が減少するとの予測もある。このような背景から、将来の都市水システムのあるべき姿について、科学的知見に基づき検討することが危急の課題である。そこで当研究室では、卒業論文題目として以下を掲げる。内容の詳細は、状況により相談に応じる用意がある。
【主な研究テーマ 一覧】
1. 都市と地下水環境
2. アジアの都市水システム
3. 高度浄水処理(膜ろ過、ナノスケール吸着剤、紫外線処理など)
4. 都市水道システムの計画および維持管理
5. 地球温暖化による都市水システムへの影響
具体的に学生がどのようなテーマで研究しているのかについては、研究室のホームページ内の研究テーマ一覧をご覧下さい。
【説明会】
4月18日(金) 12:30〜13:00 演習室にて
【受け入れ可能人数】
1〜2 名
[1.1.]ニトロソジメチルアミン(NDMA)濃縮法の検討と汚染実態の調査【実験系】(1名)
題目案の説明
発がん性物質NDMAは、水処理工程の塩素消毒副生成物として生成することが知られ、かつ現有の水処理プロセスにおいてほとんど分解除去できないことから、その水環境汚染が懸念される。日本における水環境汚染実態調査の前例は極めて乏しいが、その一因として分析方法の難しさが挙げられる。本テーマでは、既往の文献に倣ったNDMA濃縮法と測定法を習得し、必要に応じて手法を改良したうえで、東京近郊の水環境を対象に汚染の実態調査を行う。
[1.2.] NDMAの水環境中での挙動推定【非実験系】(1名)
題目案の説明
NDMAは親水性、難揮発性、難生物分解性のため安定して水環境中に存在するが、一方で極めて光分解を受けやすく、環境中で太陽光に暴露すると分解することが知られる。そこで本テーマでは、下水処理水中のNDMAが河川に放流された後の挙動について、特定の河川を対象に既存の文献値・統計値をもとにシミュレーションを行う。最終的には、河川表流水を水道水源とし、浄水工程でNDMA除去率ゼロとした場合、許容発がんリスクから逆算して、下水処理工程でどれだけのNDMA除去率が必要かを算定する。
[1.3.]フッ素系界面活性剤と医薬品の調査【実験系】(1名)
題目案の説明
フッ素系界面活性剤および医薬品は、人為起源の水溶性汚染物質であり、その存在は水の利用価値を著しく低下しうる。フッ素系界面活性剤や一部の医薬品は、難揮発性・難微生物分解性・難光分解性で環境中に残留しやすい性質を持つため、水環境への汚染が危惧されている。そこで、地下水、下水、下水処理水などを対象に、フッ素系界面活性剤や医薬品の汚染実態を調査する。対象として海外調査を行う可能性もある(未定、応相談)。
[2.1.]地下水、海水淡水化、下水再利用等の最適利用シナリオの創出【非実験系】(1名)
題目案の説明
地下水は都市の水ストックとして大変魅力的ではあるが、過去に経験した地盤沈下の苦い経験から地下水利用に対する社会的アレルギーは根強く、また、地盤沈下を生じない揚水量を把握するには、科学的知見が大幅に不足している。海水淡水化や下水再利用を効果的に導入すれば、地下水を利用することなく、将来の都市の水需要を量・質の両面で満足できるとの見解もある。これまで、地下水、海水淡水化、下水再利用の有効性や問題点は個別に議論されることが多く、相互を定量的に比較した研究例は乏しい。そこで本テーマでは、地下水、海水淡水化、下水再利用の世界的な導入状況を調査し、その技術を選択するに至った背景を調べる。さらに、特定の都市を対象に、現在の水供給の一部を地下水、海水淡水化水、下水処理水で代替するシナリオを作り、最適利用シナリオを検討する。
[2.2.]都市域の地下水有効利用を目的とした地下水中の有機物の特性評価【実験系】(1名)
題目案の説明
都市域の地下水は災害対策用や環境用水、ヒートアイランド対策などの用途として、再び着目されている。これらの用途に応じて要求される水質の基準が異なるため、都市域の地下水水質の現状を明らかにすることが重要である。東京都内の地下水は有機物濃度が高く、DOC濃度は10mgC/Lを超過する例も少なくない。このため有効利用の制約となることが懸念されているが、有機物の起源についてはこれまでの調査では明らかになっていない。そこで本テーマでは、都内の地下水の有機物に着目し、下水道からの漏水の可能性も含めて、特徴的なマーカーによる発生源の推定をおこなう。
[2.3.]災害対策用都市内水資源マップ作成【非実験系】(1名)
題目案の説明
当研究室では、平成19年度卒業研究として『東京大学本郷キャンパスにおける地下水有効利用計画』(金谷)を行った。本テーマでは、対象域を東京都23区に拡大し、さらに地下水以外の水供給源も考慮して、災害時に利用可能な水資源量のマップ化を行う。その際、人口、使用可能水量、水質などの既存データを参照し、用途別使用量を評価する。さらに、現在、5年後、10年後、20年後などの予測変化まで示すことを目指す。
Copyright 2008 Takizawa-Oguma-Murakami Laboratory / Last updated - 2008.04.18