東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 小熊久美子

Research

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科学研究費補助金(研究代表者分)

科学研究費助成事業データベース

研究課題番号 研究内容
26289181
種目
基盤研究(A)(一般)
期間
2020年4月~2024年3月
課題名
紫外発光ダイオードを利用した分散型水処理の多地点実証と下水再生処理への展開
キーワード
発光ダイオード(UV-LED) / 飲用水処理 / 下水再生処理 / 小型浄水装置 / 分野横断型産学連携体
概要
“紫外発光ダイオード(UV-LED)を光源とする紫外線処理に着目し、飲用水処理と下水再生処理のそれぞれへの適用を検討する。飲用水へのUV-LED適用では、小型浄水装置の実装や産業化を見据えた実証規模の試験を4カ国で実施する。下水再生処理へのUV-LED適用は、基礎実験での基盤的データ整備する。特に、UVLED照射による薬剤耐性菌の不活化と薬剤耐性遺伝子の光分解の特性を定量的に明らかにする。UV-LED素子や装置を開発するサプライサイド産業とUV-LED水処理技術にニーズをもつデマンドサイド産業を大学がつなぐ分野横断型産学連携体(コンソーシアム)の形成をし、日本が世界をけん引する礎を築く。 “
成果報告書
 
17H03329
種目
基盤研究(B)
期間
2017年4月~2020年3月
課題名
紫外発光ダイオードを利用した電源自立型水処理システムの開発と実証
キーワード
浄水処理 / 消毒 / 紫外線 / 無電源 / 個別分散型
概要
“急速な経済発展と都市化の渦中にある途上国、人口減少の中で水道施設の維持更新と事業継続を求められる先進国の小規模事業体、大規模災害の被災地など、安全な水の確保が待ったなしの状況では、整備・更新・復旧に長期間を要する社会基盤(インフラ)としての水道とは異なる給水システムが有効に機能する可能性がある。その一案として、紫外発光ダイオードを用いて水を利用の都度に消毒処理するPoint-of-Use型装置を開発し、無電源状況下でも利用可能な”電源自立型”の給水システムを構築する。途上国や国内山間集落での実証試験、さらに被災時の給水を模擬した装置性能評価試験を実施し、社会実装を視野に入れた知見を得ることで、従来型の水道では対応し難い地域や状況における安全かつ安定的な水供給の実現に貢献することを目指す。
1年目は、UV-LEDを搭載した小型POU装置を試作し、途上国・山間集落・被災地で想定される複数の原水水質、複数種の水中微生物を対象に実験室規模で性能を評価する。微生物種による応答の違いを分子生物学的解像度で理解するほか、工学的観点から流水発電との組み合わせも検証する。2年目当初にPOU装置を改良し、途上国および国内山間集落で実証試験を行う。過去の大規模災害で避難所や仮設住宅で発生した水系感染症の事例を収集し、重要管理点を絞ったPOU装置の利用法を提案する。微生物群集構造解析に精通した研究分担者、病原微生物実験に長けた研究協力者の他、海外の研究者と企業の研究開発担当者が研究に協力する。最後に、知見を総括してUV-LEDを用いたPOU装置の有効性と課題を論じ、実装を見据えた情報を広く社会へ発信する。”
成果報告書
 
26289181
種目
基盤研究(B)
期間
2014年4月~2018年3月
課題名
紫外発光ダイオードによる水中微生物の制御
キーワード
水処理 / 紫外線 / 消毒 / 発光ダイオード / LED / 生物膜
概要
“本研究は、給水栓における浄水の安全性を担保する技術として、紫外線発光ダイオード(UV-LED)の利用を提案するものである。UV-LEDは、小規模なシステムに有利な小型無水銀光源である。そこで、給水の直前で使用の都度に水を処理するPoint-of-Use型の浄水装置や、集落規模の飲料水供給施設など、いわゆる個別分散型水システムへのUV-LED適用を想定して研究を展開した。
H28年度は、蛇口取り付け型の装置を意識して浄水膜とUV-LEDの併用に着目し、膜の前にUV-LEDを設置して後段の膜ファウリングを抑制する可能性について実験的に検討した。はじめに、UV-LED照射前後の水道水中の従属栄養細菌をゲノムシーケンシングに供し、群集構造を理解した。種によって紫外線耐性に著しい差があり、特にメチロバクテリウムは紫外線耐性が高いことを理解した。そこで、水道水由来のメチロバクテリウムを単離・集積培養し、UV-LEDによる不活化特性を明らかにした。
また、日和見感染症の原因菌として知られ生物膜を形成しやすい緑膿菌に着目した。緑膿菌純粋株を水道水に添加し、UV-LEDを照射して照射後7日間にわたる増殖状況を調べるとともに、UV-LED照射ありと照射なしの試料を精密膜ろ過装置に供給し、膜間差圧の変化を追跡した。その結果、UV-LED照射後少なくとも2日間は緑膿菌の増殖を抑制できることが判明した。さらに、事前にUV-LEDを照射すると、照射しない場合に比べて後段のろ過膜が目詰まりしやすくなることが判明し、膜ろ過とUV-LEDの併用では適用順が重要と判明した。なお、この知見は、事前の紫外線照射で膜閉塞を抑制できたとする既往研究とは逆の結果であり、今後はメカニズムの現象論的理解が求められる。 “
成果報告書
 
24760427
種目
若手研究(B)
期間
2012年4月~2014年3月
課題名
紫外発光ダイオードを用いた水処理装置の開発
キーワード
浄水処理 / 消毒 / 紫外線 / 発光ダイオード / UV-LED
概要
無水銀光源として注目される紫外線発光ダイオード(UV-LED)を備えた小型浄水消毒装置を試作し、その性能を微生物不活化実験により評価した。実験の結果、UV-LEDは水中微生物(大腸菌、大腸菌ファージ)の不活化に有効であること、特に発光ピーク波長265nmおよび280nmのUV-LED素子が消毒光源として有望であること、UV-LED素子の自己発熱が発光効率を低下させるため装置設計において放熱性に配慮を要すること、流水式装置では水の流動条件が不活化効果に著しく影響すること、などが明らかとなった。本研究により、UV-LEDを用いた水消毒装置の有効性と将来の研究・開発へ向けた課題が明らかとなった。
成果報告書
科学研究費助成事業 研究成果報告書
21760414
種目
若手研究(B)
期間
2009年4月~2011年3月
課題名
水処理プロセスにおけるニトロソジメチルアミンの挙動解明と紫外線分解の検討
キーワード
用排水システム / 水処理 / 紫外線 / 消毒副生成物 / 浄水処理 / 紫外線処理 / ニトロソジメチルアミン / 塩素消毒
概要
東京近郊の河川水および地下水のNDMA汚染実態を調査し、水道原水に含まれうるNDMAの濃度範囲を明らかにした。また、NDMA標準物質を含む試験水を紫外線照射実験に供し、照射波長が異なると分解効率が異なること、また、溶存有機物や硝酸性窒素が共存するとNDMA分解効率が低下することを示した。さらに、NDMAを紫外線分解した後に塩素消毒を施してもNDMAの顕著な再生成は生じないことを実験的に明らかにし、NDMA処理技術としての紫外線照射の有効性を示した。
成果報告書
科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書
16760441
種目
若手研究(B)
期間
2004年4月~2005年3月
課題名
紫外線消毒による水中微生物相の変化および遺伝子突然変異の発生が水環境に及ぼす影響
キーワード
紫外線消毒 / 水環境 / 残留毒性 / 遺伝子損傷 / 生態系 / 光回復 / 水処理 / 上下水道 / バイオアッセイ / 水系感染症
概要
“水の紫外線消毒は、有害な消毒副生成物を生じず、残留影響がないとされている。したがって、放流先生態系に配慮する観点から、下水処理場での導入が有望視されている。近年、ある特定の条件下では、紫外線処理水に藻類や細菌の増殖を抑制する残留効果がある、との報告がなされた。紫外線に残留効果があるとすれば、放流先生態系に影響しないことを前提とした導入に、抜本的な見直しが必要となる。そこで本研究では、紫外線の残留毒性の有無を明らかにすることを目指す。また、照射する紫外線の波長の違いが、不活化効果や光回復・暗回復の程度に影響するかどうか、2種類の紫外線ランプを用いて定量的に示すことを目指す。
近年、紫外線処理は、湖沼や貯水池における藻類の異常増殖を抑制する方法として期待されている。そこで平成17年度は、特に紫外線照射による藻類の増殖抑制効果に着目し、Anabaena variabilisの純粋培養株を対象として、実験・解析を行った。紫外線の残留性を定量的に評価するため、紫外線照射後の培養中における細胞数、遺伝子損傷数の変化について調べた。さらに、細胞数の変化を、モデル式にて記述することを試みた。その結果、1)低圧紫外線ランプ・中圧紫外線ランプの別によらず、紫外線照射によってA.variabilisの増殖を抑制できること、2)A.variabilisは、非常に高い遺伝子損傷の修復能力を有すること、3)紫外線照射後のA.variabilisの細胞数の変化は、紫外線照射による損傷の生成、及び、その修復を仮定したモデルによって表現できること、が示された。”
成果報告書
 

JST 国際科学技術共同研究推進事業

JST 科学技術振興機構報 第1066号

2014年4月~2018年3月 「小規模水道における持続的水供給の実現に資する革新的紫外線技術の創出」

研究概要 本研究では、小規模水道の持続性確保に資する革新的紫外線技術の提案を目的とする。革新的技術の有効性を評価し運転条件を確立することで、性能、エネルギー消費、運転・維持管理等の観点から小規模水道に適した処理技術を提案する。日本とカナダのトップレベルの専門家が相補的課題に取り組み相乗効果を生むことで、両国にWin-Winな成果を達成し、将来にわたる強固な協力関係と人的ネットワークを構築することを目指す。
成果報告 http://www.jst.go.jp/inter/report/report_sicorp/report_canada/h26_canada.html

JST 戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)EIG CONCERT-Japan

「持続可能な社会のためのスマートな水管理」

2020年4月~2024年3月 「集落規模の持続的水マネジメントを可能にする革新的水処理技術の提案と実証」

“Smart Water Management for Sustainable Society” within the Strategic International Collaborative Research Program (SICORP) Framework

April, 2020 – March, 2024 ”Innovative UV-LED applications to drinking water and wastewater treatment systems for sustainable water management in future communities”

研究概要 大規模集約型の水処理施設に依存せずとも安全な水を安定的に確保できるコミュニティが未来社会の一つの姿ととらえ、それを可能にする有望な技術の一つとして紫外発光ダイオード(UV-LED)による水処理を提案する。小規模分散型の浄水処理技術として実証試験を行うほか、装置の性能評価(バリデーション)法を国際社会に提案し、さらに、処理水の毒性評価も行うことで、技術の社会実装と普及に必要な知見を得る。各国の強みとして、日本はUV-LED水処理装置の研究開発と実証の分野で世界をリードする実績、ドイツは欧州を包括する水処理装置認証機関としての国際的認知度と性能評価の実績、チェコは浄水や下水処理水を対象とする毒性研究の実績がある。これらの強みを相補的に生かすことで、技術の社会実装に必須となる基盤的知見、すなわち、「中長期的な実証データ」「装置性能評価法の標準化」「処理水の安全性」を明らかにする。知見を集約し国際社会に発信することで、UV-LED水処理技術の普及を後押しし、集落規模の持続的水マネジメントが可能な未来社会の実現に貢献する。
成果報告

その他

農林水産省受託研究 「昆虫嗅覚受容体を利用した飲食料由来のカビ臭の簡易検査システムの開発(2016年4月~2019年3月、研究分担者 」
厚生労働科学研究費補助金 ・「小規模水供給システムの持続可能な維持管理に関する統合的研究(20LA1005)(2020年4月~2023年3月、研究分担者)
・「小規模水供給システムの安定性及び安全性確保に関する統合的研究(H29-健危-一般-004、2017年4月~2020年3月、研究分担者)
・「地表水を対象とした浄水処理の濁度管理技術を補完する紫外線処理の適用に関する研究(H26-健危-一般-004、2014年4月~2017年3月、研究分担者)
環境省受託研究 ・環境省令和3年度革新的な省CO2 型感染症対策技術等の実用化加速のための実証事業「高効率・長寿命深紫外LED の技術開発と細菌・ウイルス不活化および脱炭素効果の実証(2021年~2025年3月、研究分担者)」
・環境省環境研究総合推進費S-8「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究(2010年~2015年3月、研究分担者)
・環境研究総合推進費「水系感染微生物による水環境汚染の把握と微生物起源解析の活用に関する研究(2016年4月~2019年3月、研究分担者)」
国内研究助成(抜粋) ・クリタ水・環境科学振興財団2020年度特別助成(2020年~2023年)
・クリタ水・環境科学振興財団「紫外発光ダイオードを利用した小型浄水装置の開発と性能評価(2013年10月~2014年9月)
・下水道振興基金 東日本大震災復興研究等助成「被災時に有効な簡易下水処理技術としての紫外線消毒の検討(2013年)」
自治体・民間との共同研究(抜粋) 「紫外線発光ダイオードを用いた微生物不活化の評価と水処理装置の開発」
「深紫外LEDの水消毒応用に関する研究」
「深紫外発光ダイオードを利用した水処理技術の開発」
「UV-LEDを用いた血液製剤微生物低減化方法の開発」
「水道原水中有機物の紫外線処理に関する研究」

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【 連絡先 】

小熊久美子
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻内

Kumiko OGUMA
7-3-1, Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8656
Department of Urban Engineering,
Graduate School of Engineering,
the University of Tokyo

Tel / Fax: 03-5841-0547
Email: oguma[at]env.t.u-tokyo.ac.jp